理事長ご挨拶

理事長

一般社団法人 歯科基礎医学会
理事長 井上富雄

この度、中村雅典前理事長の後任として理事長を拝命しました井上富雄です。よろしくお願いいたします。

口や顎は,「飲む」、「食べる」ことなどによって、生きていく上で欠くことのできない、水、電解質、栄養物を体の中に取り込む入り口となります。また「話す」ことは、ヒト同士の速やかなコミュニケーションを可能にし、ヒトの社会的・文化的な活動を支える重要な基盤です。これらを可能にしているのは、口が体の中で一番硬い組織である歯を持つこと、口や顎、顔が、極めて優れたいろいろな感覚機能を持つこと、さらに、この感覚情報を利用して、舌、口唇、下顎、軟口蓋、咽頭が、お互いにタイミングを合わせて正確に動くことなどによります。一方、口の中は37℃前後で湿潤な状態で、多くの微生物にとって増殖に適した環境です。そのため、身体の他部位に比べて極めて多様な微生物が多数生息して口腔マイクロバイオームを形成し、口腔だけでなく全身の健康に影響を与えています。このように多様な働きをする組織や器官は、体の他の部位にはありません。

歯科基礎医学会は、解剖学、生理学、生化学、薬理学、微生物学、病理学の6分野の研究者で構成されています。本学会は、学会員の専門領域を活かして口や顎、顔の多様な研究テーマに対する取組みを介して、生命科学の発展と歯科臨床に対する貢献を目指しています。

歯科基礎医学会は昭和34年(1959年)4月1日に243名の会員で発足し、60余年経った現在は会員数約2,000名の学会に発展いたしました。歯科界はこの60年で、う蝕の洪水の時代から、小児の口腔機能の正常な発育へのサポートや高齢者の口腔機能低下への対応が求められる時代に変化してきました。本学会も新たな令和の時代に向けて変化していかなければならないと考えています。

我が国は、2040年に高齢者人口はピークを迎え現役世代が急減します。日本歯科医学会から、この「2040年問題」に歯科はどのように展開していくかのイノベーションロードマップを作成し、社会に示そうとの提案がありました。そこで本学会は、1) 口腔・全身の健康増進を目指す口腔マイクロバイオームの解明、2) 健康長寿社会を目指す口腔機能低下の予防と回復法の確立、3) 早期口腔癌の発生・進展メカニズムと診断・治療法の確立、4) 新たな再生医療・バイオマテリアルの開発 の4研究テーマを選定し、推進することとしました。2019年の第61回学術大会では、1番目のテーマでのキックオフシンポジウムを実施したのに続いて、2020年、2021年にそれぞれテーマ3とテーマ4のテーマでシンポジウムを開催しました。今後も各テーマについて順にシンポジウムを開催し、研究成果を発信していく予定です。

また若年者人口の減少に伴い、多くの学会において会員数が減少傾向にあります。そこで、会員数の増加につながる方策をとっていきます。上記イノベーションロードマップの4研究テーマは、歯科臨床をはじめ多くの研究分野と関係します。これらの研究などを介して、歯科臨床を含めたさまざまな研究分野の先生方や、関連する諸学会との連携を進め、他分野の先生方の本学会への参加を増やしていきたいと考えています。2020年の第62回学術大会と2021年の第63回学術大会では、コロナ感染症の拡大でWeb開催となりましたが、当初の予定通り歯科理工学会との共催シンポジウムを実施しました。その結果、本学会会員と理工学会会員との共同研究も始まったと聞いております。またWeb開催は、学会の開催地に移動しなくても参加が可能なため、旅費がかかりません。大学院生や学部学生の方々にとって参加のハードルが下がると期待されます。また、忙しい臨床の先生方にとっても、学会場へ移動する必要がありません。また演題もオンデマンドの視聴方式ですので、お好きな時間に目的の演題をご覧いただくことができます。今後も、ICT利用も念頭に置き、会員数が増える努力を継続していきます。

最後に、本学会の研究成果の情報発信の場である英文誌の「Journal of Oral Biosciences」は、2019年からPubMedに掲載されました。インパクトファクター獲得に向けて、より一層努力していきたいと考えています。会員の皆様のご協力を何卒よろしくお願い申し上げます。

2020年度から2年間、微力ながら本会の発展のために尽力いたす所存です。どうぞよろしくお願い申し上げます。

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