生化学分野

生命現象を物質的観点から捉えると、生体は多種多様な化学物質の集合体として存在し、これら化学物質が相互に連携して生命体の恒常性を維持しています。生化学は、生命現象の恒常性がどのようにして維持されているか、あるいはどのように崩壊して病気を発症するかを物質化学的に研究する自然科学の一分野です。従来から、時代の変遷に伴って生物化学、医科学、生化学と呼ばれてきましたが、近年では分子生物学、細胞生物学を含む学問領域になっています。また、免疫学、分子遺伝学、生物工学、などとも連携して研究されています。

生化学の研究対象は生体物質、物質代謝でありますが、中でもタンパク質、酵素、核酸、糖質、脂質などの高分子は生体を構成する主役であり、生化学研究の重要な研究対象となっています。分子生物学は、生命現象がどのように制御されているかを分子レベルで解明、理解する学問ですが、遺伝子工学の方法論を駆使しながら生命の本質を理解し、また、遺伝子診断、遺伝子治療、再生医学などにも応用されています。

Lehningerは、「生化学は、生物、物理、化学に引き続いて行う理系の単なる一専門分野であると捉えるのは誤りであり、生化学分野、生命科学分野の急速な発展によって、今や生化学の知識は、理系の一分野としての知的興味にとどまらず、社会に対して多大な影響力を与え、どのような職業、専門分野の人にとってもその知識と理解は有用である」と述べています。

口腔生化学は、基礎歯科医学の一分野で、主に生化学的・分子生物学的手法を用いて口腔内疾患および組織を研究する分野です。近年、口腔疾患が全身の健康に影響を及ぼすことが明らかになっていることから、口腔のみならず全身の器官、組織などの研究も不可欠です。口腔生化学は、歯科医学の専門家として生化学の知識を身につけることで口腔疾患の発病・病態との因果関係を洞察できる能力を養い、日常臨床で遭遇する現象に対して正しい判断ができる有能な歯科医師を育成することに貢献しています。

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