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歯科基礎医学とは?

医師が患者さんを診察し、診断して、治療を行なうまでには、体の構造、体の各部分の機能を十分に理解しておかなければなりません。さらに、病気の原因や治療に用いる薬の作用なども十分に理解しておく必要があります。このような医学にとって基本的な知識は基礎医学とよばれており、専門的には解剖学、組織発生学、生理学、生化学、薬理学、微生物学、病理学などの分野に分かれています。歯科の治療を行なうためにも、これらの基礎医学の知識が必須です。さらに、歯や口の構造、機能、病気などの詳細な知識も必要となります。つまり、歯科基礎医学とは、医学に必要な基礎医学を基盤として歯科に関連する基礎医学を詳細に研究する学問といえます。そのため、歯科基礎医学会では、歯科基礎医学をさらに発展させるために、解剖学、組織発生学、生理学、生化学、薬理学、微生物学、病理学の7分野が一緒になって活動しています。歯学部における教育は、この7分野が独立かつ連携して行なわれています。しかし、研究については、最近の生命科学の急速な進歩に伴い、各分野を越えた学際的な研究が活発に進められています。

歯科基礎医学会の役割

歯科基礎医学会は二つの重要な役割を担っています。

一つは、歯科基礎医学の研究により生命科学の発展に寄与することです。我々人間は、毎日、食事をし、話をし、呼吸をして生活しています。このような何気なく行なっている動作が、どのようなメカニズムで厳密に制御されているのでしょうか?我々人間の顔の形、表情、歯並びなどは一人一人違っています。このような個性はどのようなメカニズムで生まれるのでしょうか?現在、これらの問いに対する明確な答えは得られていません。歯科医学においては、その他にも沢山の素朴な疑問が残されています。このような疑問を解き明かすことは、歯科医学だけではなく、今後の生命科学でも重要な課題となります。そのため、歯科基礎医学会の会員は種々の実験動物や研究手法を駆使して、生命科学の発展に寄与するために研究に取組んでいます。近年、生命科学の研究は急速に発展しています。そのため、歯科基礎医学会の会員は医学部、薬学部、理学部、工学部などの他領域の研究者とも学際的な研究を展開し、歯学部から優れた生命科学の情報を発信するために努力しています。

もう一つの重要な役割は、歯科の臨床に貢献することです。歯科には、虫歯、歯周病、口腔癌などを初めとした歯科特有の様々な病気があります。これらの病気を治すには、各々の病気の原因を追究するとともに、より優れた診断法、治療法などを開発していかなければなりません。そのためには、歯科臨床に貢献することを目指した基礎研究を行なうことが必須です。歯科基礎医学会ではこのような研究も盛んに行なわれています。特に、歯科基礎医学会には多くの歯科臨床の先生方も加入しているために、これらの先生方も加わって歯科臨床への貢献を目指した優れた基礎研究が展開されています。

以上のように、歯科基礎医学会は「生命科学発展への寄与」と「歯科臨床への貢献」という二つの重要な役割を担っています。これら二つの役割は独立したものではなく、緊密に連携しています。そのため、今後、歯科基礎医学会は、この二つの役割を基盤とした有機的組織をさらに強化して、歯科医療を含めた生命科学の発展に寄与していきます。

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