病理学分野

病理学とは、様々な疾患の特徴を解析し、それらの原因を明らかにするとともに、治療効果の判定や有効な治療法の開発にも貢献する学問分野です。このような目標を達成するために病理学では、種々のアプローチが行なわれていますが、大別すると外科病理学と実験病理学に集約できます。外科病理学では、顕微鏡による解析を基盤として種々のヒトの疾患を診断(病理組織診断)します。そして、それらの結果を系統的に解析することにより特定の疾患の成因、病態も追究します。実験病理学では、種々の疾患モデル動物や培養細胞などを用いて研究を推進し、特定の疾患の成因、病態を解析します。外科病理学、実験病理学のいずれにおいても形態学が研究の基盤となっていますが、近年では、分子生物学、生化学などの手法も交えて分子レベルの研究も盛んに行なわれています。

口腔病理学とは、口腔を含めた顎顔面頭頸部領域の種々の疾患を対照とした病理学です。各大学の口腔病理学教室では、様々な疾患の病理診断を日常業務として行い、歯科臨床に直接貢献しています。さらに、若手の口腔病理医の育成と病理診断精度の維持、向上のために、日本病理学会口腔病理専門医制度により毎年、口腔病理専門医試験が行なわれています。この試験では、口腔の疾患だけではなく、病理解剖の経験や全身の疾患の病理診断能力も問われますので、幅広い病理学の知識と経験が要求されます。このような制度は、諸外国ではみられない我が国特有のものです。以上のように、口腔病理学は臨床に直接貢献している点、全身の疾患の病理学的基盤を共有している点で、他の歯科基礎医学分野と大きく異なります。つまり、我が国の口腔病理学は「基礎と臨床」の架橋となるだけではなく、「口腔と全身」の架橋ともなる重要な学問分野といえます。そのため、多くの大学では、この点を重視して、学部学生に「病理学」「口腔病理学」の教育を実践しています。

全国の大学歯学部、歯科大学を中心として日本臨床口腔病理学会という学会が組織されています。興味ある方は、http://www.jsop.or.jp/ よりホームページをご覧下さい。

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