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佐々木晴香先生

Melatonin MT2 receptor is expressed and potentiates contraction in human airway smooth muscle
佐々木晴香 先生
東北大学大学院歯学研究科歯科口腔麻酔学分野

この度は歯科基礎医学会 学会奨励賞を賜り、大変光栄に存じます。また、選考委員の先生方、学会関係者の皆様に心より御礼申し上げます。

私は学部学生時より東北大学歯学部歯科口腔麻酔学分野にて研究を続けています。臨床実習の中で、全身麻酔中に生じた喘息発作で患者さんが命の危機に瀕したことを目の当たりにしたことがきっかけで、気管支喘息の病態解明の研究を開始しました。

今回の受賞対象論文は、気管支喘息の悪化にかかわる因子、そして治療抵抗性の原因としてのメラトニンの影響を明らかにしたものです。気管支喘息の症状は深夜から早朝にかけて悪化しやすいことが知られていますが、その原因は明らかにされていません。私は、夜間喘息発作が頻発する時間帯に一致して血中濃度が最大になるホルモン「メラトニン」に着目し、喘息の病態との関連性を研究しました。その結果、2種類のメラトニン受容体のうち、メラトニンMT2受容体が気管平滑筋に発現していることを発見しました。そしてメラトニンは気管平滑筋上のメラトニンMT2受容体を介して気管平滑筋の収縮を増強させることで喘息発作を悪化させること、また喘息発作治療薬による気管平滑筋弛緩作用を減弱させることを明らかにしました。

今後の課題としては、気管支喘息の他病態である、気道粘液分泌、気道過敏性、気道炎症等におけるメラトニンの影響について研究を進めていく必要があると考えております。そして、基礎研究を通して新たな視点から喘息の病態を捉えることで、「喘息死ゼロ」に貢献できるよう、邁進していきたいと思っております。

最後になりますが、本研究を遂行するにあたりご指導下さいました水田健太郎教授、支えてくださった東北大学歯科麻酔科医局の先生方、日本大学の篠田雅路教授に心より感謝申し上げます。


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